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【メーカーレポ】富士山のおいしい水はどうやって作られる? 「ふじざくら命水」工場レポート

【メーカーレポ】富士山のおいしい水はどうやって作られる? 「ふじざくら命水」工場レポート

 ウォーターサーバーの水は、くみ上げたものをそのままパック詰めしているわけではない。安全に飲めるように様々な処理をされて、私たちの手元に届く。ではその水は、具体的にどのような工程を経ているのだろうか? 富士山の水とともに60年歩んできた、「ふじざくら命水」の工場に潜入した。

◆フィルターでろ過し高温で加熱殺菌

「ふじざくら命水」の採水地は、富士山麓の河口湖の近くにある、標高1000メートルに達する地点だ。「富士桜命水株式会社」工場長の小佐野一雄さんは、次のように解説する。

「富士箱根伊豆国立公園に囲まれたこの場所の、150メートル地下に水脈が流れています。水は、富士山に降った雨や雪が30~40年かけてろ過された、非常にキレイな水です。それを、玄武岩という溶岩が冷え固まった岩石の層を掘り、ポンプで吸い上げているのです。地下水は、地層の性質によっては砂が混じることがありますが、ここは硬い岩石層なのでそうした心配はないんです」(小佐野さん、以下「」内は同)

 それではその富士山の地下水が、パックされた「ふじざくら命水」になるまでの実際の道のりを見てみよう。

「富士山の良質な地下水はとてもキレイな水なので、そのままお出ししたいくらいおいしいのですが、安全性を確保しないとなりません。そこでまず、目の細かいフィルターでろ過し、不純物を取り除きます。それから120度以上の熱をかけて加熱殺菌を行います。食品衛生法では85度で30分といった規定がありますが、高熱にすることで短時間の殺菌を可能にしているんです」

 水が沸騰する温度は100度だが、120度で殺菌するとはどういうことだろうか?

「水に圧力をかけるのです。すると通常の沸点よりも高い温度になります。この原理を使って高温殺菌を実現しています。ちなみに同じ地下水でも、別荘地やゴルフ場の飲料水として供給している水は法令に基づいて塩素殺菌などを行っています」

 水をくみ上げ、ろ過と殺菌を行う部屋は完全なクリーンルームになっていて、完全防備の専用の服装でないと入れない。

 そして、細かい異物を取り除き殺菌された水は、「充填(てん)室」に送られる。ここは水をパックに詰める作業が行われる場所。通常は無人の状態で、充填機が黙々と水の入ったパックを製造している。

「パックに密封するまでは、水に何かが入る可能性はゼロではありません。ですから充填室も、メンテナンスなどを行う際以外は人間が立ち入らずにパック詰めをするようにしているんです。ここで完全に密封され、次の工程へ進みます」

「充填室」の様子。ろ過、殺菌、パックへの充填まで無人。外部の異物が入らない工夫で水の安全を確保している

「充填室」の様子。ろ過、殺菌、パックへの充填まで無人。外部の異物が入らない工夫で水の安全を確保している

 完全密封されたパックは、充填室の隣にある部屋の、ベルトコンベヤーの上に滑り落とされる。そこには段ボール箱が流れてきており、ちょうどいいタイミングで箱の中にパックが入るようになっている。製造ペースは1時間に300個。ここではベルトコンベヤーの先に作業員が控えている。

「『ふじざくら命水』のパックには、ウォーターサーバーと接続するための、給水口となるコックがついています。段ボール箱の上面にはコックを出す場所に切れ込みがあるのですが、パックが入り込んだときに、コックが別の向きになっていることがあります。それを人の手で修正するんです」

 コックの向きが切れ込みと合っていないと、ユーザーが直さなければならず、すぐ使うことができない。また、初心者だと戸惑ってしまうこともあるだろう。

 パックが正しく収まった箱はフタを閉められ、配送の最小単位である「2個1組」のセットとしてラッピングされる。

水が密閉されたパックは箱詰めされて完成品となる

水が密閉されたパックは箱詰めされて完成品となる

◆万全の安全管理で国際規格にも適合

 ベルトコンベヤーの終点には、ロボットのクレーンが待ちかまえている。2個ずつにまとめられた箱は、パレットの上に整然と積み上げられていく。「ふじざくら命水」のパックは小さいほうでも9リットル入り。2個だと単純計算で20キロ近い重さになる。人力で運んだらかなりの重労働だ。システムを駆使して無人化を効果的に行っているのも、同社の水の低価格化につながっているのだろう。

整然と積まれるようにプログラムされたクレーンロボット

整然と積まれるようにプログラムされたクレーンロボット

 飲食物の場合、わずか1粒の異物が1度でも混入することは、製品の信頼性に影響する。出来上がった箱は抜き取り検査によって、水質や異物、雑菌の混入がないか厳正にチェックされる。

 こうして富士山の地下深くを流れる良質の水は、私たちのもとに届く。自動化が進んでいるが、山の中ならではの「侵入者」対策にも知恵を絞っていると小佐野さんは言う。

「それは『虫』ですね。工場の周辺にはアリ、カ、クモ、コガネムシなど非常に多くの種類が生息しています。水を浄化する部屋や袋詰めする部屋は、外部から細かいホコリすら入らないようガードしていますが、屋外からアクセスできる場所には工場の虫を排除するため、おびき寄せるライトや、ワナなどを各所に設置しています」

 こうした様々な安全対策により、同社工場は、食品の国際的な安全管理基準として非常にシビアな要求を満たす必要がある「ISO22000」を取得している。また、水そのものは2017年と2018年に2年連続で「iTQi(国際味覚審査機構)」の賞を受け、2017~2019年にかけて3年連続で「モンドセレクション」も受賞している。

「60年にわたって富士山にお世話になってきました。いま降った雨も何十年かすると、地下水となります。将来の水を守るためにも、富士山周辺の清掃活動やゴミを減らすような工夫も行っています。環境維持は、恩恵を受けている我々の責務だと思っているんです」

 工場の様々な設備を目の当たりにし、すべては富士山の水への信頼をより高めるためということを、強く感じることができた。

 

 

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